あなたがカメラを回すとき、被写体となる人(以降はモデル)に「○○の撮影をするから、いつも通りやって」というような相手任せの依頼をしてはいませんか。

モデルが役者などのプロであれば、ある程度はお任せにしてもそれなりに対応してはくれますが、撮影をされることになれていない人の多くの人は、ビデオカメラを向けられると少なからず緊張して、動きやセリフがぎこちなくなります。ビデオカメラで撮影されて動きが固まってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。(中にはカメラに映ることが好きでカメラが回るといつも以上のパフォーマンスを発揮する人もいますが…最近は増えているきがします)
またモデルは、大ざっぱな依頼では「いつも通りって言われても…なんだか恥ずかしい」「自分のいつも通りで大丈夫なの」などと余計なことを考がちで、不安を感じたり、自信がなくなったりしてしまうこともしばしばあります。

このような状態では撮影を始めても、思うような仕上がりになることはなかなかありません。その結果として何度も撮影を繰り返すことになると、撮影をする側にはイライラが募り、撮影される側はプレッシャーを感じて、あせる気持ちが大きくなり、さらにミスを連発するという悪循環に陥ります。これでは、もう動画制作はコリゴリということにもなりかねません。このような状況に陥らないように、今回は動画制作テクニックというよりも撮影現場での心得について紹介します。

まず動画撮影では「何をどう見せたいのか」しっかりとしたイメージをもって撮影に臨みましょう。そして、そのイメージはモデルにしっかりと伝え、理解してもらうことが大切です。どのタイミングで、どのような動作をしてほしいのかなども具体的に依頼をします。その時、どのようなカメラワークを行うかについても理解してもうようにします。自分がすることがはっきりとしていて、かつ、どこを撮られているかが分かっていれば、モデルもある程度は安心できます。

撮影者とモデルの意思疎通ができたら、ためしに撮影を行ってみましょう。

デジタルビデオカメラのいいところは、撮影した動画をその場で確認できることです。ここで、「もっとこうしてほしい」と思うことがあれば、動画を見ながらモデルに率直に伝えます。また逆にモデルにも、やりづらいところが無かったかなどの確認もしましょう。もし自分のイメージより、よい動画になっていれば、その場で素直に感想を伝れば、モデルのモチベーションはグッと上がります。撮影現場での前向きで建設的な意見の交換は、動画の満足度が高まるだけでなく、撮影を繰り返しても、イライラが募ったり、プレシャーが増えたりということは少なくなり精神的にも楽です。

カメラマンと被写体の意思疎通ができている動画は、動きに流れが生まれ、動画で何を伝えたいのかが、はっきり分かるようになってきます。視聴者にとっても、違和感なく動画を見ることができるので理解がしやすいです。(ただ、例えばHow to 動画などの撮影で、いろいろと意見を出し合いながら撮影した結果、演出を懲りすぎて逆に伝えたいポイントがわからない動画になってしまった…悲しいですが、こういうこともあります。特にこだわりたい部分以外は、労力対効果を考えると一連の流れを全景で撮影し、ポイントとなる部分をアップで撮影するというシンプル演出がよいように思います)

改善できることは改善しながら、状況や時間の許す範囲で撮影を行っていきましょう!

後悔をしないように「妥協をしないことが大切です」と言いたいところですが、条件が許す範囲での撮影となると、100%満足できる動画にすることはかなり難しいと思います。撮影に関わる人たちで納得できるラインを決め、それ以上のものが撮影できていればOKとすることも1つの選択肢です。無理はしないで、反省点があれば、それは課題として、次の撮影をするためのモチベーションにするというくらいの気軽な気持ちを持つことは、動画制作を続けていくコツでもあります。

≪その他の心得≫
撮影には、複数の人が関わりますが、画面に映っているのはモデルだけです。ですからモデルが気持ちよく撮影に臨むことができるよう配慮することがとても大切です。モデルがプレッシャーを感じたり、上手くできなくて落ち込んだりしていれば、それは画面に現れてしまい「残念な動画」になってしまうことが多いです。

ミスなどが続いた場合には、心情を理解し修正点を指示する程度にとどめる、休憩を入れるなど、現場の空気を読みながら、撮影現場の雰囲気を上手にコントロールすることがよい動画をつくるコツの1つです。